乳房再建

BREAST RECONSTRUCTION

自家組織による乳房再建

自家組織による再建は広背筋皮弁と腹部皮弁の2通りに分けられますが、それぞれの皮弁の特徴や適応は全く異なりますので、要点をしっかり把握した上で治療に臨むことが望ましいでしょう。

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広背筋皮弁による乳房再建

肩から背中にある皮弁(背中の皮膚・脂肪・筋肉などを含めた一つのかたまり)を広背筋皮弁といいますが、この皮弁は背中からそのまま胸部(乳房部分)に移動することができ、乳房に関わる治療では使いやすい位置にあるという特徴があります。

広背筋皮弁の適応・長所

広背筋皮弁は、中等度までの乳房のボリュームで、自家組織による再建を希望しているが、腹部皮弁よりはシンプルに再建をしたい、という方に最も向いています。エキスパンダーにより、再建乳房の皮膚をしっかり伸展させたのちに、ポケット内に広背筋皮弁を埋入すれば、ある程度のボリュームまでは再建可能です。極端なデザインにしない限りは、 皮弁の信頼性は高く壊死などのトラブルはほとんどありません。

広背筋皮弁の短所

一般に日本人女性の広背筋は比較的薄く、中等度以上のボリュームの再建を広背筋皮弁のみで行うことは無理があります。また、腹部皮弁に比べると、脂肪よりも筋肉の割合が高く、後で筋肉が萎縮することがあるため、特に上胸部を中心にボリュームが不足しがちです。再建乳房自体は柔らかく仕上がるのですが、場合によっては筋肉の動きが見えてしま う場合があります。

合併症

漿液腫

広背筋皮弁は広い面積を剥がさなければならないので、術後背部の皮膚の下にしばしば長期にわたり液が溜まることがあり、定期的な穿刺吸引が必要な場合があります。

広背筋皮弁の萎縮

上胸部を中心に広背筋皮弁が萎縮してしまった場合には、将来的に脂肪注入などによりボリュームの調整を行う必要がある場合があります。

対策

腹部皮弁による乳房再建

腹部皮弁には、有茎腹直筋皮弁と DIEP flap に代表される遊離腹直筋皮弁の2種類があります。 この中で最も低侵襲で、かつ最も高い整容性を実現できるのは DIEP flap です。有茎腹直 筋皮弁に比べ、DIEP flap の手術は極めて高い専門性とセンスが要求される手術ですが、 治療結果として最高の結果を得られることがわかっています。標準サイズ以上の乳房に対し、仮に腹部の脂肪量が十分であるとするならば、理論的には、全ての乳房形態の再現が可能であるとの結論を私自身は得ることができました。したがって、当院では、DIEP flap 以外の腹部皮弁を乳房再建に用いることはありません。

腹部皮弁による乳房再建

腹部皮弁には、有茎腹直筋皮弁と DIEP flap に代表される遊離腹直筋皮弁の2種類があります。 この中で最も低侵襲で、かつ最も高い整容性を実現できるのは DIEP flap です。有茎腹直 筋皮弁に比べ、DIEP flap の手術は極めて高い専門性とセンスが要求される手術ですが、 治療結果として最高の結果を得られることがわかっています。

DIEP flap の適応・長所

前述の通り、腹部の脂肪量が十分ならば、理論的には中等度以上の全ての大きな乳房、下垂乳房に対応可能であり、極めて自然な質感や対称性を得ることができます。

DIEP flap の短所

人工物に比べれば大きな手術になります。下腹部の傷が残ります。妊娠出産を希望される場合は慎重な手術計画が必要になります。

合併症とその対策

当院でこれまで起こった合併症としては、腹部の手術後の血腫(出血が固まること)、吻合部(血管をつないだ場所)の確認のための再手術等です。吻合部の血栓は非常に稀ですが、全くないとは言い切れません。翌日にきちんと状態を確認して、問題があれば直ちに再吻合の処置を行うことが重要です。これにより、皮弁壊死などのトラブルを回避することができます。

© 医療法人社団 蘇春堂形成外科