乳房再建

BREAST RECONSTRUCTION

乳房再建について

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対称性や曲面の美しさがアイデンティティそのものの再現とも言える乳房再建は、形成外科の中でも極めて特殊なジャンルの一つであり、常に高い精度で形態を再現することは決して容易なことではありません。私は、DIEP flap(深下腹壁動脈穿通枝皮弁)を世界で 初めて乳房再建に応用したGENT 大学の Blondeel 教授のもとで乳房再建の真髄を学び、その後、癌研有明病院で非常に数多くの乳房再建にたずさわる機会を得ることができまし た。これらの数多くの経験をもとに、現在では、確実に結果を約束できる最も合理的な再建コンセプトを私自身が立案できた自負があります。『乳がんを克服し、『かたち』を通じて自分自身のこころを日常に戻すこと』 これが乳房再建の真の目的・意義であり、その歩みに共に全力を尽くすことを約束いたし ます。

​                           蘇春堂形成外科副院長  矢島和宜

乳房再建

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乳房再建とは

​乳房は乳腺という機能の他に、流線型の形状そのものが『女性らしく見せる役割』をはたしています。つまり、乳房の形自体が意味を持つ特別な臓器であり、『かたち』を通じてその人のアイデンティティーのひとつを成していると言っても過言ではありません。 乳がん治療で乳房が切除されると、乳房の形は失われ、大きく変形します。この状態を回復させるため、人工物(シリコン・インプラント)や、自家組織(おなかや背中などの組織)を用い、バランスの良い形態に創り直すことを、『乳房再建』と言います。

乳房再建の時期および治療回数に関する定義

乳房再建の時期(○次)、および回数(○期)については以下のように定義されており、『○次○期再建』 と表記します。

​乳房再建を行う時期(○次)

一次再建

乳房の切除をする際に同時に乳房再建を行います。乳房損失となる期間が無いため乳房の喪失感の軽減につながるという長所があります。

二次再建

乳房の切除をした後しばらく期間をおいて改めて乳房再建を行います。余裕を持って再建術を受けることができることが長所です。

​乳房再建を行う回数(○期)

一期再建

ティッシュエキスパンダーは用いずに自家組織または人工乳房により初回の手術で乳房再建を行います。

二期再建

ティッシュエキスパンダーを挿入して皮膚を充分に伸ばしてから、シリコンに入れ替える方法です。

一次一期再建

乳房切除と乳房再建が初回の手術で乳房再建が完了します。

一次二期再建

乳房切除と同時にティッシュエキスパンダーで皮膚を拡張させた後、改めて乳房再建を行います。

二次一期再建

乳房切除を行った後、ティッシュエキスパンダーは用いずに期間をおいて改めて乳房再建を行います。

二次二期再建

乳房切除をして期間をあけ、ティッシュエキスパンダーで皮膚を拡張させた後さらに日を改めて、乳房再建を行います。

乳房再建の意義

乳房再建の治療は大きく2つの意味があります。ひとつめは、失われた形やボディーバランスを取り戻し、日常生活の利便性を回復すること。ふたつめは、自分自身の意思で再建治療に踏み切ることにより、がん治療のショックか ら立ち直るとともに、自らを鼓舞し、気持ちをリセットする機会が得られるということ。 この2つの観点から、癌にかかる前の生き生きとした自分を取り戻すきっかけとして、 乳房再建は大きな意味を持つのではないでしょうか。これまで長らく乳房再建は自費治療のみでしたが、厚生労働省は、2006年に自家組織、ついで2013年には人工物(シリコン・インプラント)による乳房再建を保健収載しました。 このことは、『乳房再建が女性としてのアイデンティティーや尊厳を保つために欠くべ からざる治療である』ことをあらためて社会が認めたということであり、この機会を活かすことが当然の権利になったことは、乳がん治療に関わる全てのひとにとって最も大きな 福音になったと言えるでしょう。

乳房再建の術式

乳房再建には 2 つの基本的な術式があります。

​人工物

による乳房再建

シリコンやインプラントによって

乳房再建を行います。

自家組織

による乳房再建

​ご自身の腹部や背部の皮膚や脂肪、筋肉を移植して乳房再建を行います。

いずれの術式を選択するかは、1)乳房の形態、2)患者様の希望、3)患者様の背景(年齢、 体型、仕事の状況、家族の状況など他の全ての要因)を総合的に判断して決定することが望まし いと考えています。

人工物による乳房再建

人工物を用いる再建手術は2つのステップに分かれる治療(①ティッシュエキスパン ダー挿入術②シリコンインプラント挿入術)になります。 現在使用認可されている人工物は、表面がスムーズでアナトミカルタイプ(乳房の形) のティッシュエキスパンダー(アラガン社)と、同じく表面がスムーズでラウンド型のシ リコンインプラント(アラガン社)、表面がわずかにザラザラでアナトミカルタイプのシ リコンインプラント(シェントラ社)の3種類になります。
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​自家組織による乳房再建

自家組織による再建は広背筋皮弁と腹部皮弁の2通りに分けられますが、それぞれの皮弁の特徴や適応は全く異なりますので、要点をしっかり把握した上で治療に臨むことが望ましいでしょう。

乳頭・乳輪再建

乳頭・乳輪再建について

全摘の術式が SSM(皮下乳腺全摘術)の場合には乳頭乳輪を再建する必要がありますが、 乳頭再建には、『局所の皮弁を用いる方法』と『健側から組織を半分移植して行う方法』の2つの方法があります。 また乳輪の再建は、『tatoo で行う方法』と、『移植で行う方法』の2通りに分かれます。いずれの方法を選択するかは、局所の状態、健側の形態、患者様ご自身の希望などを加味して決定します。

治療費用について

治療の費用については、保険診療と自費の診療に以下のように分かれます。 乳房再建は、人工物再建・自家組織再建のいずれも保険診療になり、高額療養費制度の適応とな ります。乳頭再建も保険診療になりますが、乳輪再建で tatoo を行なった場合は自費診療となりま す。また、対側の豊胸術、乳房縮小術、乳房固定術も自費の治療となります。

デジタルタブレットを使用してドクター

治療施設の選択と施設連携について

乳がん治療および乳房再建を行う際の連携については、主に以下の2通りの流れがあります。 同じ施設内に乳腺科および形成外科を併設している場合とそうでない場合です。 蘇春堂形成外科では、道内・道外の多数の施設と協力体制をとり、再建手術を行っております。 制度上、乳腺外科と形成外科の連携が全国的に整った現在においては、一次一期再建を除き、 通院の時間短縮以外には、同一施設内で連携を取る必然性はなく、もちろん健康保険の制度上も 何の制約もありません。したがって、乳がん治療および乳房再建をそれぞれどの施設で行うかは あくまでも患者さんの自由な選択に委ねられています。どんな乳がん治療、乳房再建結果を希望したいのか、時間の許す限り柔軟性を持ってより多くの選択肢から自由に、かつ慎重に選ぶべきでしょう。 北海道内で当院と連携している主な施設は以下のとおりです。

ことに乳腺クリニック

北海道がんセンター乳腺科・形成外科

札幌医科大学乳腺外科(第一外科)・形成外科

北見原クリニック

麻生乳腺甲状腺クリニック

旭川医科大学第一外科・形成外科

札幌厚生病院外科

恵佑会札幌病院乳腺外科・形成外科

北海道大学乳腺外科・形成外科

KKR 札幌医療センター

入院の必要性と入院日数について

人工物再建(ティッシュエキスパンダー挿入術・シリコンインプラント挿入術)を行う場 合には、通常4〜5日間の入院が必要です。 自家組織再建(DIEP flap)の場合には、11日間の入院期間になります。札幌市以外もし くは道外から DIEP flap の治療を受けられる場合は、2〜3週間入院していただき、その 後の通院回数が頻回にならないような工夫を行なっています。 乳頭、乳輪の再建は局所麻酔の治療になり、入院の必要はありません。

医師より

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