
Other
傷痕の修正
傷痕の修正手術とは

傷痕(瘢痕)は、けがや手術、やけど、ニキビなどの皮膚の損傷が治ったあとに皮膚表面に残る跡のことを指します。治癒の過程で残るものですが、部位や大きさ、傷の深さ、体質によって目立ち方が異なり、中には赤みや盛り上がりが強く残ったり、引きつれや機能障害を伴ったりするものもあります。
傷痕の修正手術とは、こうした目立つ・気になる・生活の妨げになる傷跡を医学的・形成外科的に改善し、見た目や機能の回復を目指す治療です。
傷痕に関するよくあるお悩み
患者さまからは次のようなお悩みでご相談をいただきます。
-
手術や帝王切開の傷が目立つ
-
ニキビややけどの跡が色濃く残っている
-
交通事故やけがによる傷跡が硬く盛り上がっている
-
引きつれや盛り上がりで服が擦れて痛い
-
人目が気になって服装や髪型を制限している
こうした悩みは見た目の問題にとどまらず、心理的・社会的なストレスにつながることも少なくありません。
傷痕のタイプと治療の考え方
傷痕の種類によって適切な治療法は異なります。当院ではまず傷の状態を診察し、以下の分類をもとに治療方針を決定しています。
肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)
皮膚の表面に赤く盛り上が って硬く残る傷痕。元の傷の範囲内で増殖し、かゆみや痛みを伴うこともあります。
ケロイド
傷の範囲を越えて大 きく盛り上がる瘢痕で、遺伝的な体質が関係することもあります。胸や肩、耳たぶなどにできやすい傾向があります。
陥没性瘢痕
皮膚がへこんで見える傷跡で、ニキビやけが、外傷の治癒後に多く見られます。凹凸が目立ち、化粧などで隠しづらい場合もあります。
色素沈着・赤み
色が茶色〜黒っぽく残ってしまった傷跡。肌のターンオーバーの遅れや炎症後色素沈着が原因で、時間とともに薄くなるものもあれば、定着してしまうものもあります。
瘢痕拘縮(ひきつれ)
関節部などで傷痕が皮膚を引っ張り、動かしにくくなってしまった状態。見た目だけでなく機能的な制限も生じるため、早期の手術治療が必要です。
傷痕修正の治療法
当院では以下のような治療法を組み合わせて、患者さまの状態とご希望に合わせた治療を行っています。
手術による修正
-
単純切除・縫合:傷跡を切り取ってきれいに縫い直す方法。直線的な細い傷にすることで目立ちにくくなります。当院では、全ての手術において大型顕微鏡を用いて手術を行っておりますので、整容的に極めて質の高い治療を受けることが可能です。
-
Z形成術・W形成術:皮膚の方向を調整し、ひきつれを緩和したり自然なラインに仕上げたりする高度な形成手術です。関節や立体的な部分で使う技術のひとつです。
-
皮膚移植:やけどや大きな傷に対して、別の部位から健康な皮膚を移植してカバーする方法です。
注射治療(ステロイド注射)
ケロイドや肥厚性瘢痕に対して、ステロイドを直接注射して炎症を抑え、盛り上がりやかゆみを改善します。月1回程度の注射治療を継続して行います。
レーザー治療
色素沈着や赤み、凹凸の改善に対して、医療用レーザーを使用することで肌の再生を促し、傷の色調や質感を整えます。
当院の傷痕修正の特徴
当院では、形成外科専門医がすべての治療を担当し、単なる美容目的ではなく「医学的な正確さと仕上がりの質の高さ」の両立を重視しています。顔、首、胸などの目立つ部位や、手術後の大きな傷痕、ひきつれや痛みを伴う瘢痕など、あらゆるケースに対応しています。また、術後の経過観察やスキンケアのアドバイスまで、長期的に丁寧なサポートを行っています。
傷跡は完全に消える?
現代の医療では「傷を完全に消す」ことまでは難しいですが、「可能な限り目立ちにくくする」「自然な形に整える」「日常生活に支障が出ない状態にする」ことは十分に可能です。傷の状態に応じて複数回の治療や再手術が必要になる場合もありますが、一つひとつ段階を踏みながら丁寧に仕上げていきます。特に当院の大きな特徴として、全ての手術に対して大型顕微鏡を用いた手術治療(マイクロサージャリー)を行うことにより、最善の治療結果となるような工夫を行っております。
保険適用と費用について
見た目だけでなく、機能的な制限(ひきつれ・痛みなど)や日常生活への支障がある場合は、当院における傷痕修正手術は原則として、健康保険の適用対象としておりますが、治療回数や治療費用については症状や傷痕の大きさ、長さにより異なります。診察時に症状や経過を確認し、治療方法や治療回数、治療費用について丁寧にご説明いたします。
よくあるご質問と当院の対応
「以前の手術の跡が気になるけれど直せますか?」「子どもの傷も対応できますか?」「いつごろ治療すればいいですか?」といったご相談を多くいただきます。当院では初診時に丁寧なカウンセリングを行い、傷の状態やご希望に合わせて、無理のない最適な治療方針をご提案しています。
傷を“あきらめる”から“整える”へ
「仕方がない」とあきらめていた傷痕も、医療の力で改善できる可能性があります。人に見られるのが気になる、動かすとつっぱる、服が擦れて痛い―その悩みはご自身だけのものではありません。当院では、見た目だけでなく、患者さまの心にも寄り添う診療を行っています。まずはお気軽にご相談ください。