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Skin

粉瘤

粉瘤とは

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粉瘤(ふんりゅう、英語では「アテローム」)とは、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に老廃物(角質や皮脂)がたまることで形成される良性の皮下腫瘍です。見た目はやや盛り上がったしこりで、中央に小さな黒い点(開口部)が見えることが特徴です。顔や背中、耳の裏、首、胸、陰部など、全身のあらゆる部位にできる可能性があります。

なぜ粉瘤ができるのか

粉瘤の原因は完全には解明されていませんが、皮膚の表面にある「毛穴」や「皮脂腺」の出口がふさがれてしまい、剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が皮下にたまることで形成されると考えられています。ニキビのような炎症がきっかけになることもあり、また外傷や皮膚の刺激によって毛穴が塞がることが原因になる場合もあります。

いぼの原因と感染のリスク

ウイルス性いぼの主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。皮膚に小さな傷があるときにウイルスが侵入し、数週間から数ヶ月後にいぼとして発症します。タオルの共用や間接的な接触でも感染が広がるため、特に小児や家族内での接触感染には注意が必要です。

また、免疫力の低下やストレス、肌への摩擦・刺激が増えると発症・再発しやすくなるため、生活習慣の見直しも大切です。

粉瘤の特徴と見た目

粉瘤は以下のような特徴を持ちます。

ゆっくりと大きくなる皮下のしこり

押すと中から白いチーズ状の

内容物が出ることがある

炎症を起こすと赤く腫れて痛みを伴い、

膿が出ることもある

炎症がなければ痛みやかゆみはない

放置しても命に関わることはないが、

見た目が気になる方も多い

特に炎症性粉瘤になると、見た目や痛みが急激に悪化し、日常生活にも支障をきたすことがあります。

ニキビとの違い

粉瘤はニキビと混同されやすいのですが、原因や構造が異なります。ニキビは毛穴に皮脂が詰まり炎症を起こす疾患で、一時的なものであることが多いのに対し、粉瘤は皮膚の下に袋状の構造ができる「腫瘍」であり、自然に消えることはありません。

放置するとどうなるのか

粉瘤は基本的に良性腫瘍であり、命に関わるものではありませんが、次のような問題が起きることがあります。

  • 徐々に大きくなる:放置すると数cm〜10cm近くになることも

  • 炎症を起こす:赤く腫れて痛みや発熱を伴う場合も

  • 破裂する:内容物が皮膚に漏れ出し、強い臭いや感染の原因に

  • 傷跡が残る:自壊したり摘出が遅れると跡が目立ちやすくなる

これらのリスクを避けるためにも、早期の診断と計画的な除去が望まれます。

当院で行う粉瘤の診断と治療

当院では、まず診察にて粉瘤の大きさ、位置、炎症の有無を確認し、必要に応じて超音波検査や局所麻酔での内容確認を行います。その上で、状態に応じた治療方針を決定します。

根治治療:手術による摘出

粉瘤の唯一の根本的な治療法は、袋ごと外科的に切除することです。当院の治療の特徴は、どのような粉瘤であれ、最小の大きさの傷で粉瘤を取り出す工夫をしていることです。直径が5〜6cm程度のかなり大きな粉瘤でも概ね1cm以下の小さな傷に仕上げることが可能です。

  • くり抜き法:小さな切開から内容物と袋を除去。傷が小さく、整容的に優れる

  • 切開摘出法:袋の全体が大きい場合、やや広めに切開し完全に取り除く方法

  • 局所麻酔で対応可能、施術時間は15分程度です

  • 摘出した組織は必要に応じ病理検査に回し、悪性所見の有無を確認します

炎症が強い場合の対応

炎症性粉瘤に対しては、まず膿の排出や内服薬(抗生物質・消炎鎮痛薬)で炎症を抑えてから、後日改めて摘出手術を行います。炎症の最中に無理に摘出すると、再発や合併症のリスクが高くなるため、段階的な治療が必要です。

傷跡と術後の経過

当院では極めて小さな傷跡になるようにするため大型の顕微鏡を用い、美容的な仕上がりに配慮した摘出手術を行っています。縫合した場合には5~7日程度で抜糸を行い、部位や個人差によっては数ヶ月で目立たない傷へと落ち着きます。顔などの目立つ部位に関しては、創部のデザインや縫合方法を工夫し、できる限り目立たない状態に回復させるよう努めています。

保険適用と費用について

粉瘤の摘出は、保険診療の対象です。診察・手術・病理検査のすべてが保険適用となり、自己負担額も抑えられます。腫瘍摘出術の費用は腫瘍の直径(大きさ)により算定されますが、当院では腫瘍の大きさを厳密に計測しておりますので、予想外の治療費用になることはありません。

よくあるご質問と当院の対応

「痛みはありますか?」「すぐに手術できますか?」「再発することはありますか?」など、多くのご質問をいただきます。術中は局所麻酔で痛みを最小限に抑え、再発防止のためにも袋を完全に除去することを重視しています。ご希望があれば、手術日程や生活への影響についても事前に丁寧にご説明いたします。

小さなできものも早期診察が大切です

粉瘤は小さなうちは痛みもなく、放置されがちですが、時間とともに大きくなり、炎症や感染を起こすリスクがあります。見た目や触感に違和感を感じたら、できるだけ早くご相談ください。当院では、丁寧な診察と専門的な技術で、安心・確実、かつ見栄えも重視した治療を提供しています。

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