
Skin
ほくろ
ほくろとは

ほくろ(医学的には母斑細胞母斑)は、皮膚の中に存在するメラニン色素を産生する細胞(母斑細胞)が局所的に集まり、色のついた隆起や斑点として現れる皮膚の良性腫瘍です。生まれつきあるものもあれば、思春期以降に増えてくるものもあります。多くは問題のない自然なものですが、場所や大きさによっては美容上の悩みや、時に医療的な対応が必要となるケースもあります。
なぜほくろができるのか
ほくろは、皮膚のメラノサイト(色素細胞)が増殖し、皮膚の表面または内部に集まることで形成されます。遺伝的要因に加えて、紫外線や摩擦などの刺激、ホルモンの影響も関与してい ると考えられています。顔や首、腕、背中などに多く見られますが、体のどこにでもできる可能性があります。
ほくろの種類
一口に「ほくろ」といっても、その形態や深さによりいくつかの種類に分けられます。
単純黒子
皮膚表面に平らにできる一般的な小さな黒い点状のほくろです。美容的な理由で除去を希望されることが多いタイプです。
色素性母斑
やや隆起したほくろで、皮膚の浅い層〜深い層にかけて母斑細胞が広がっています。顔や体幹に多く見られ、大きくなる 傾向があるものもあります。
異所性母斑
目の周りや粘膜など、通常ほくろができにくい場所に現れるものを指します。小さなものでも目立ちやすいため、見た目の気になる方が多い部位です。
巨大母斑
先天的に大きなほくろが存在する場合で、色の濃さや毛の生え方などの特徴があります。サイズが大きいほど将来的に悪性化の可能性があるため、専門的な診断と管理が必要です。
ほくろ除去を希望される理由
ほくろがあることで生じる悩みは人それぞれです。
顔や体の目立つ部分にあり、
コンプレックスを感じている
髭剃りや化粧時に引っかかって不便
大きくなってきた・色が濃くなった・
形が変わってきた
医師から悪性の可能性を指摘された
美容的な目的で除去するケースもあれば、皮膚がんのリスクを考慮して医療的な視点から除去を選択されることもあります。
ほくろ除去の方法と選択
当院では、ほくろの種類や大きさ、部位、患者さまのご希望に応じて、複数の治療法から最適な方法をご提案しています。
炭酸ガス(CO₂)レーザー
レーザーでほくろの組織を蒸散(気化)させて取り除く方法です。
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小さくて浅いほくろに向いている
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傷跡が残りにくく、ダウンタイムが短い
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一度で除去できることも多いが、再発する場合もある
切除手術(外科的切除)
メスでほくろを切り取る方法で、小さなほくろの場合は、メスでくり抜く方法を用い、大きなほくろの場合には、メスで切除した後に皮膚を縫合して傷を閉じます。
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さまざまな種類のほくろに対応でき、再発を防ぎたい場合に有効
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くりぬき法の場合には時間の経過とともに傷跡が目立たなくなる
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確実に取りきれるため、病理検査も可能
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縫合する場合は、傷跡が直線的に残るが、形成外科的縫合で目立ちにくくできる
当院のほくろ治療の特徴

当院では、単なる除去ではなく、「美しく自然な仕上がり」にこだわった治療を提供しています。形成外科専門医が診察を行い、除去後の傷の形や経過まで見越したデザインと処置を行います。必要に応じて皮膚生検を行い、良性・悪性の診断も併せて対応可能です。まつ毛や眉毛の中など技術を要する部位の切除や、顔の目立つ部位の施術も数多く対応しておりますので安心して治療を受けられます。一つ一つのほくろを丁寧に治療させていただきますので、原則として一回の診療で複数の個数は治療しません。
傷跡とアフターケアについて
どの治療法を選んでも、除去後には一時的に赤みやくぼみが残ることがあります。当院では術後のスキンケア指導や保護テープの貼付、専用の塗り薬の処方などを通じて、傷跡をできるだけ目立たなくするケアを行っています。顔や目立つ部位の場合、必要に応じて傷跡ケアのための再診や処置もご案内しています。
悪性の可能性があるほくろについて
ほくろの一部には「悪性黒色腫(メラノーマ)」などの皮膚がんの可能性を含むものがあります。以下のような変化が見られる場合には、早めの受診をお勧めします。
急に大きくなった・形が変わった
色がまだらになってきた
かゆみや痛みを伴う
境界が不明瞭になってきた
出血した・かさぶたができる
当院では、悪性の可能性がある場合には迅速に皮膚生検や精密検査を行い、必要に応じて大学病院や専門機関への紹介も行っています。
よくあるご質問と当院の対応
「一度で完全に取れますか?」「再発しませんか?」「保険適用になりますか?」といったご質問を多くいただきます。保険適用は、悪性の疑いがある場合や日常生活に支障を来すケースに限られるため、診察時に適否を判断いたします。また、除去後の経過についても丁寧にご説明し、安心して施術を受けていただける体制を整えています。
小さな悩みにも丁寧な医療を
たとえ小さなほくろでも、患者さまにとっては大きな悩みであることを、私たちはよく理解しています。当院では、一人ひとりの思いに寄り添いながら、機能面・美容面の両方から最適な治療をご提案いたします。安心してご相談いただける環境を整えていますので、お気軽にご来院ください。