耳の変形に対する治療について
- 4 日前
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耳は音を捉えて脳に伝えるだけでなく、顔全体のバランスにも大きく影響する重要な器官です。生まれつき形が異なっていたり、成長の過程で変化が生じたりすると、見た目だけでなく、機能面で支障をきたす場合もあります。
耳の変形は、先天的な要因だけでなく、外傷やケガなどの後天的な理由によっても起こります。突然の事故やスポーツ中の接触によって軟骨が損傷すると、耳の形が崩れてしまうことがあるため注意が必要です。
本記事では耳の変形を大きく先天的なものと後天的なものに分け、その代表的な種類や治療の選択肢を詳しく紹介します。形の異常を改善するための手段はいくつかあり、早期の矯正や手術によって大きく改善できるケースもあります。
また最近では、あえて耳を立ち耳にしたいなどの要望も増えており、自費診療にはなってしまいますが、そのようなケースにも対応することが可能です。

耳の変形とは?
耳の変形とは、耳が生まれつき、または成長の過程で異常な形態を示す状態を指します。
先天的な耳の変形は胎児期の形成過程で生じることが多く、遺伝や胎児期の環境的要因が考えられます。具体的な時期としては、耳の軟骨が形成される初期段階での不具合により、大きさや位置、さらには細かいひだ構造に影響が出ることがあるのです。
一方、後天的な耳の変形は外傷や炎症、または耳への過度な圧迫などが原因となります。例えば、激しいスポーツ中に軟骨が折れ曲がったまま治癒してしまうと、その部分が変形して残る可能性があります。
ただし、形態異常そのものがすべて深刻な問題につながるわけではありません。外見上のコンプレックスにつながる場合や機能が低下する場合に、専門家による検査や適切な治療が選択されることが重要です。
耳の先天的変形
胎児期の発育段階で耳の正常な形成が阻害されると、先天的な耳の変形として生まれることがあります。
生まれた直後の段階では小さな変化に気づきにくいこともありますが、成長とともに耳の形状の異常が目立ち始めることも少なくありません。そのため、新生児期に健診で耳の変形を指摘される場合もあります。
先天的なケースの場合でも、新生児期から矯正装具を用いた治療を行うことで、手術に頼らず改善が期待できるものもあります。種類や程度によって最適な治療法は異なるため、専門家の意見を早めに聞くことが望ましいでしょう。
耳の変形の種類
耳の変形には多様な種類があり、位置や軟骨の形状などに応じてさまざまな呼び方があります。
耳の変形を正しく把握するためには、どの部分に異常があるかを明確にする必要があります。一見、見た目の違いが小さくても、軟骨の構造そのものに大きな差があるケースがあるからです。
代表的な種類には、耳軟骨が皮膚に埋まってしまう埋没耳や、耳の一部が折れ曲がる折れ耳などが挙げられます。また、立ち耳やスタール耳のように外へ張り出す形状も存在し、小耳症や副耳など機能面も含めて注意が必要なものもあります。
形状の違いを理解しておくことで、早期の矯正や手術による改善が可能かどうかを判断する第一歩になります。特に新生児期の軟骨はやわらかいため、症状や種類によっては装具治療が効果的に働くことがあります。
埋没耳
埋没耳は、耳介の上部が皮膚に覆われて軟骨が埋もれて見える状態を指します。周囲の軟骨が十分に発達しないまま皮膚で覆われるため、耳が小さく見えたり形が不明瞭だったりすることが多いです。
このタイプの変形は、生後間もない時期に専用の矯正器具を装着することで比較的改善しやすい場合があります。耳の軟骨がまだ軟らかく柔軟性が高い新生児期に行うと大きな変形でも効果が期待できます。ただし変形が強いケースや、耳の軟骨に付着する筋肉の付着異常に伴うタイプによっては矯正治療を行っても効果が乏しい場合があり、そのような場合は手術が必要になります。
しかし、成長が進んで軟骨が硬くなると矯正器具による改善は難しくなります。その場合は外科手術に進む選択肢もありますが、手術のタイミングや方法は個々の状態によって異なるため、専門医との相談が不可欠です。
折れ耳
折れ耳は、耳の一部が前方に折れ曲がっている状態を指します。
これらの形状は、原因としては軟骨の形成不全や筋の付着の位置異常・胎児期に耳へかかる物理的な力などが考えられます。外見上だけでなく、マスクやメガネがかけられないなど実用面での不便を生じる場合もあります。
立ち耳
立ち耳は、耳介が頭部の側面から大きく離れて立ち上がっているように見える耳の形です。欧米の文化圏では、悪魔のイメージを連想させるとして気にする方もいるなど、以前はネガティブなものとして受け止められていました。
しかし近年は、可愛らしく見える、顔が小さく見えるなどの副次的な効果を期待して、あえて立ち耳にする方もいらっしゃいます。
先天的なものの原因としては、軟骨の形態に伴うものから、筋肉の付着部の問題のものまで様々です。生後まもなくの場合は、矯正である程度改善する場合もありますが、立ち耳のお子さんの場合、軟骨が成長しても柔らかいケースが多く、矯正だけでは不十分な場合も多いです。
スタール耳
スタール耳は耳介上部に余分なひだや折れ込みができ、通常の耳と比べて独特な形状を示す変形です。アニメキャラクターのように尖って見えることもあり、外見上の特徴として気になる方もいます。
耳の変形の治療方法
耳の変形の治療は、症状の種類や程度、年齢、そして患者の希望を総合的に考慮して行われます。
生後間もない時期は、耳の軟骨が柔らかく、外力や矯正装具の影響を受けやすい特徴があります。そのため、新生児から乳児期にかけての早期治療によって、手術を回避できる可能性が‘高まります。
ただし、成長とともに軟骨が硬くなると装具による矯正効果は低下し、外科的なアプローチが必要になる場合が増えます。
本人や家族が気になるようであれば、専門の医療機関を受診し、適切な治療のタイミングや方法などを相談することが大切です。
当院では、矯正治療のみの方の治療はお受けしておりません。その後の手術が必要なケースにつきましては、15歳以降の方であれば治療を行っております。
手術治療
手術では耳の軟骨の変形を改善し、また皮膚の形成も行って理想的な形状へと近づけることを目指します。
手術の内容や時期は、変形の種類や患者の年齢によって異なります。
皮膚のみの形成で改善できるケースは、比較的容易ですが、軟骨の変形があるものについては難易度が上がりますので、経験のある施設で治療を受けることをお勧めしております。軟骨は元の形の癖が強く残りやすく、様々な加工の工夫が不可欠です。当院では、先天的な耳の変形の治療を多数実施していた医師によって手術を行いますので、15歳以上に限定させていただいておりますが、気軽にご相談ください。軟骨形成の術式においては、経験に基づいてオリジナルの方法を採用しております。
もちろん立ち耳にしたいなどの自費診療の方もお待ちしております。



